すらすら租税法研究ノート。

租税法に関する勉強と思考を書きます。

非居住者、あるいは国外への波及?

消費税は内国税であり、その課税対象は「国内において行われた」ものに限られます。 当然、資産の譲渡等(役務提供も含む法令上の表現)の相手が「誰」であるかは無関係であり、販売・サービスした相手が日本人(居住者)及び内国法人に限定されるものではな…

個別消費税と一般消費税。

酒税・たばこ税・ガソリン税、あるいは廃止された物品税など、 個別消費税を財政学の視点から支える論点は、3つあります。①贅沢品に対する重課。 垂直的公平(負担能力がある者には重く税を課する)という視点から、贅沢品に対する重課が正当化されます。 …

なぜ法人に課税する?

法人は、法律が作り出したものであります。 これが実在しているのか、 それとも個人の集合体に過ぎないのか、 租税法の世界でも延々と論争が続いてきたそうです。現実の法人税法は、個人の集合体であるという建前を とりつつ、実在説も加味しているのではな…

数量化できない課税物件には。

財務会計のテキストの最初の方で、 会計公準というのが出てきます。 その中で、貨幣的測定の公準、というのがあります。 いろいろな意味がありますが、 お金で測れないものは財務会計には取り込めない、 というものも含まれますね。さて、租税法の世界では「…

外形標準課税と消費税は二重課税では?

我が国の消費税は、欧州VATに類似した付加価値税であるといわれます。 消費税法の仕入税額控除の仕組みを分解しますと、 このような式で表されます。課税標準=売上額-原材料仕入額‐資本財購入額 税額=課税標準×5%(地方消費税含む)一方、地方税である法…

つぎはぎ改正が引き起こす会計税務の差異とは。

今日の財務会計は、言うまでもなく発生主義会計により行われています。 現金の入金がなくとも、「実現」したものであれば収益に計上する、という実務慣行ですね。さて、日本の会計基準には収益認識に関する包括的な基準がなく、その「実現」基準として法人税…

付加価値税、文献調査メモ(その1)

付加価値税について長い歴史を持ち、税率も高い欧州では「金融取引と付加価値税」についても様々な研究論文や調査がまとめられている、と。 記録しておかねば。Value Added-Tax: a study of methods of Taxing Financial and Insurance Serviceshttp://ideas…

どの国で付加価値税を課税する?

国際的二重課税の排除、といいますと 外国税額控除制度や、租税条約、 または転じて移転価格税制・過少資本税制などが 思い浮かびます。しかし、付加価値税の世界でも 国際的二重課税の排除が行われています。 それを担保するのが輸出免税制度です。輸出免税…

信頼の対象となる公的見解?

税務署に聞きに行って、そのとおりに処理したのに 後から税務調査で否認されたり、 追徴課税されたり・・ということはよくあると聞きます。最高裁判決は、納税者が救済される場合として 次のようなものを示しています。①税務官庁が納税者に対して信頼の対象…

租税回避否認の論理には。

私法の世界では、 「私的自治の原則」と「契約自由の原則」が 前提として置かれています。租税法は強制力を持った「徴税」という、 国家権力と私人の交差する場面を律していますが。私的自治と契約自由を重視しますと、 課税要件を回避するために 経済効果は…

いちいち裁判にはできませんし・・

本日の1冊はこちらです。 税法入門 第6版 (有斐閣新書)作者: 金子宏,清永敬次,宮谷俊胤,畠山武道出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2007/04/09メディア: 新書購入: 2人 クリック: 4回この商品を含むブログ (11件) を見る 55頁より。 公平負担の原則は常に立法…

応益的負担とは?

本日はこちら。 租税法ではなく、財政学のテキストです。 現代財政学 (有斐閣アルマ)作者: 横山彰,堀場勇夫,馬場義久出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2009/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る この中から、地方税…

一般に公正妥当と認められる会計処理の基準、って?

さて、本日の題材は中井稔教授の「企業課税の事例研究」です。 企業課税の事例研究作者: 中井稔出版社/メーカー: 税務経理協会発売日: 2010/03メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 中井教授は元日本興業銀行の経理部長を務めた方。 あの有名な貸倒損…

未定稿・銀行業と消費課税(その2)

本稿は(ry まだ考え中なんだからツッコミ入れないでね! ということでw本日は有価証券等の譲渡対価の計算方法について論じてみましょう。 消費税法第6条・別表第一で限定列挙される13種類の取引は「非課税」となりますが、これは欧州付加価値税の非課税範囲…

未定稿・銀行業と消費課税(その1)

本ブログの記事は、思考中の材料を書き連ねた未定稿です。引用などされませんようw*1 金融機関と消費課税(付加価値税)について論じた書物・研究論文はそれなりに蓄積があります。 それらは3つのタイプに分けられるのではないでしょうか。 ①金融シンクタ…

金融取引と消費税。メモその1

こちらのブログは、研究材料集めのための思考メモです。 論考不足などもあるかもしれませんが、 途中経過ということで。朴源「消費税と金融取引に関する基礎的考察」鹿児島大学経済学論集59号2003年なぜ金融取引が「非課税」になっているのか、という疑問点…