すらすら租税法研究ノート。

租税法に関する勉強と思考を書きます。

応益的負担とは?

本日はこちら。
租税法ではなく、財政学のテキストです。

現代財政学 (有斐閣アルマ)

現代財政学 (有斐閣アルマ)


この中から、地方税を取り上げます。

地方税には5つの原則があります。
①応益性の原則
②安定性の原則
③伸張性の原則
④普遍性の原則
⑤負担分任の原則


法人税の外形標準課税は資本金1億円超の法人に課される
加算型付加価値税です。
所得+人件費、純支払利子、純支払賃借料+資本割の付加価値に対して課税されます。
企業が地方政府から受けている便益は、付加価値と資本金の大きさによって測れる、との理屈から課されています。


しかし、資本金1億円超の法人という区切りの根拠が不明ですし、計算過程が非常に複雑で事務負担も重いなど、おもに大企業を狙って課税する不公平な税制となっております。


また、国外所得を除外する、という建前はありますが、
外形標準課税の国外所得は
法人税法の国外源泉所得とは異なり、
海外PE(恒久的施設)が無い場合は
所得割から控除できないなど(地方税法72条の24)、
海外への有価証券投資などで得た所得も
課税対象になり、これも理屈に合いません。


同じ付加価値税である「消費税」が
前段階控除の仕組みがあるのに対し
外形標準課税は付加価値に対する税が累積します。


赤字法人へも課税しようという意図はわかりますが、
このようにさまざまな欠陥があるため
簡素・公平からはほど遠い税制であり、
外形標準課税については、
事業所税とともに整理・廃止すべきと考えます。