すらすら租税法研究ノート。

租税法に関する勉強と思考を書きます。

租税回避否認の論理には。

私法の世界では、
「私的自治の原則」と「契約自由の原則」が
前提として置かれています。

租税法は強制力を持った「徴税」という、
国家権力と私人の交差する場面を律していますが。

私的自治と契約自由を重視しますと、
課税要件を回避するために
経済効果は同じなのに別の法形式を
採用することによる租税回避を許すことになります。

公平負担の原則を重視して、
明文の規定が無くても
租税回避を否認できるという学説もあるものの、
法的安定性、何よりも租税法律主義の原則から
明文の規定無しに租税回避否認はできないというのが
多数説であります。

それでも、組織再編税制などでは
包括的な租税回避否認規定を置いています。

これが違憲であるか、
争われた裁判はまだないようですが、
財務のデパート、いや財務の総合商社のような
企業がアクロバティックなスキームにより
課税回避行動をとり、国税調査で否認されて
争われている事例もあると聞きます。

これから、判例が蓄積されていくのでしょう。

注視したいと思います。