納税の法的義務とその帰着。
法人企業は、法律上の税支払い義務はあっても、最終的に負担する主体にはなり得ません。
法人課税は、一般に生産要素(労働・資本・・)所有者あるいは生産物購入者(消費者など)へ税の転嫁をもたらすことになります。
どの主体により多くの税の負担が帰着するかは、生産要素間の代替弾力性や、需要供給などによる価格の弾力性に応じて決まってしまいます。
生産要素のうち、労働(従業員ですね)へは、特に日本においては労働市場の流動性が極めて薄いので、移動しづらく、税の転嫁が起こりやすいものと考えられます。
逆に資本は、特に株式上場企業においては流動性が極めて高く、税を帰着させようとすれば(当期純利益の減少、内部留保の取崩など)、たちまちのうちに逃げ出してしまうでしょう。
企業に応益性の建前から課税しようとしても、実際には応益を受けていない生産要素・消費者へ転嫁されてしまう結果となります。
結局のところ、企業課税は、「取りやすいところから取る」という理由を隠したまま行われることが多いのではないか、と考えております。*1
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*1:転嫁できる=租税負担能力があるとも考えられます