すらすら租税法研究ノート。

租税法に関する勉強と思考を書きます。

外形標準課税と消費税の差異、税等価。

外形標準課税(法人事業税)と消費税は、地方税と国税という差異の他、税額計算過程にも大きな違いがあり、別々のものだと思われています。
もっとも大きな違いは、外形標準課税は資本金1億円超の大きい企業のみに課税される「直接税」であるのに対し、消費税は最終消費者への転嫁が予定されている「間接税」であるという点です。

直接税か間接税かは、税法立法者が区分するものであり、経済学的に考えると、法人に課されるあらゆる税金は生産要素所有者へ「転嫁」されると考えられるため、違いはないものとされます。
直接税は、一般に考えているのとはことなり、企業そのもの(イメージとしては株主=持分所有者、取締役など経営層でしょうか)だけが負担を負うものではなく、労働者、債権者、資本所有者へ配分・転嫁されているわけです。

さて、外形標準課税も消費税も、課税対象は企業が作り出す「付加価値」であり、同じ課税物件に二重課税されているものと考えられます。あくまで、経済的にであり、法的にではありません。
これを、「税等価」と呼びます。

外形標準課税は、所得型付加価値税であり、消費税は消費型付加価値税です。所得型と消費型の違いは、前者が減価償却資産への課税が減価償却を通じて段階的に課税されるのに対し、後者では即時控除されているだけで、同じ付加価値を生産面と支出面から見ているにすぎません。

また、外形標準課税は源泉地主義課税(企業の立地箇所で課税)であるのに対し、消費税は仕向地主義(最終消費地で課税)です。

考えるほど、この二つの税金は同じものであり、二重課税であると感じられるようになりました。転嫁方法が不明確である分だけ、外形標準課税に欠陥が多いように感じられます。

公平な税制とは何か。
まだまだ、考え続けます。