すらすら租税法研究ノート。

租税法に関する勉強と思考を書きます。

資本を保護せよ。

資本は、利潤を生み出す「元手」であり、無くならない限り再投資されて次々と新しい利潤をもたらしてくれます。
一方、同じ生産要素である「労働」は一日の仕事で疲れ果てても、食事をして休息して睡眠を取れば、再び活動できるようになります。

第二次大戦後、欧州から始まった付加価値税の本質は、投資資本の免税にあります。
機械など、新しく取得された資産にかかる付加価値税は、複数年に渡り減価償却で費用化されるのではなく、取得した時に即時、前段階控除されてしまいます。
結果として、課税標準として残るのは前段階控除の対象とならない「人間の労働」であり、付加価値税の本質は、賃金課税であるとも言えます。

もちろん、資本免税は付加価値税が完全に転嫁されてしまった場合の理論上のものに過ぎず、実際の租税制度では広範な非課税(前段階税額控除の累積)や複数税率の存在による経済活動への攪乱により、資本への侵蝕が発生していることもあります。

さて、勉強を続けます。

財政学 改訂版

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