読書ノート「現代ドイツの売上税(付加価値税)の改革をめぐって : 軽減税率の機能と廃止案の検討を中心に」
ドイツでは売上税(付加価値税)の軽減税率の廃止議論が起きているそうです
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 9
ドイツ売上税は、標準税率は19%ですが、食料品などに7%の軽減税率が適用されています。これを廃止したうえで、標準税率を16%に引き下げしようという提案
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 9
「軽減税率によって、特定の消費財が付加価値税においてより軽く課税されるとされているが、これは財の供給者がその租税軽課分を最終消費者に対して完全に転送した場合のみ(続く)」
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 9
(続き)「・・つまり粗価格を租税優遇分だけ引き下げた場合のみうまくいく。・・そうでない場合は軽減税率による優遇は企業への補助金になってしまう」
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 9
「軽減税率による価格低下は保障されていない。間接的な消費課税としての売上税は、企業領域において徴収されなければならないゆえに、期待される効果は売り手企業が標準税率と軽減税率の差額分だけ粗価格を引き下げた場合のみ実現する」
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 9
「しかし、そのことは税法では規定されておらず、あくまで市場で決定される。・・企業がそうするかは、需要の価格弾力性、競争状況、景気状況に依存している」
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 9
「もし軽減税率によって価格引き下げ効果が消費者へ及んだとしても、分配政策上、本来それを志向していない高所得者にも及んでしまう」
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 9
「価値財(書籍・雑誌・文化施設利用)への追加的需要を軽減税率によって、低所得層においても創り出すことも軽減税率の目的の一つである」日本でも新聞協会が軽減税率を要求しています
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 9
「しかし、価値財への軽減税率は、既にそれらを大規模に消費している高所得者が活用することになる。価値財の分野においても、移転支出(引用者注:政府からの現金給付)や教育施設への国家支出が推奨されるべき」
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 9
「(ドイツの)現行システムは消費課税の本来のモデルから逸脱している。多数の例外が競争上の歪みをもたらし、特定の財、分野、法人、団体が補助されている。かくして付加価値税は年月を経て、特殊利益の取扱いの関門になってしまった」
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 9
軽減税率廃止とともに、非課税の廃止も提案されています。「・・非課税の財・サービスでも「隠れた付加価値税」により完全に賦課されているのであり、軽減税率も消費者での相当の価格引き下げを決してもたらしていない」
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 9
「付加価値税のしくみを使って表面上は消費者への利益のように見せながら、実際には特定分野への補助金を達成させてしまう」
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 9
軽減税率に対する批判は、この2点(本当に軽減分が消費者へ利益をもたらしているのか不明確・効果が高所得者へも及んでしまう」)に尽きるわけですが・・
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 9
ドイツにおける軽減税率による税収減少はおよそ230億ユーロ(2010年、1ユーロ140円として3兆2千億円)
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 9
うち、食料品軽減税率による税収減少が170億ユーロで約74%を占める。これによる「逆進性」解消は(表面的には)否定できない。しかし、企業側の原価が開示されない以上、本当に「安く販売しているのか」はどこまでいってもわからない
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 9
軽減税率廃止を提案する側では、世帯所得に応じた付加価値税給付金を支給することで逆進性の緩和をとなえているが、これには全世帯の正確な所得捕捉が必要で、これには追加的行政コストや納税者側での法令順守コストも
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 9
参考文献はこちら。関野 満夫「現代ドイツの売上税(付加価値税)の改革をめぐって : 軽減税率の機能と廃止案の検討を中心に」 http://t.co/JAU8Mu6nO0
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 9
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