読書ノート「欧州委員会、金融保険取引と付加価値税について」。
本日のお題はこちらから。
- 作者: 天野史子,税理士法人プライスウォーターハウスクーパース
- 出版社/メーカー: 中央経済社
- 発売日: 2009/09
- メディア: 単行本
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欧州委員会の英文 Consultation Paperはこちら。
http://ec.europa.eu/taxation_customs/resources/documents/common/consultations/tax/modernising_vat_en.pdf=Consultation Paperon modernising Value Added Tax obligations for financial services and insurances
欧州委員会が2006年に公表したConsultation Paperでまとめられた付加価値税における金融取引「非課税」の問題4点。①(非課税とされる)金融取引の範囲が不明確
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 4月 8
②事業者間取引(B2B)であるにも関わらず発生する控除対象外付加価値税による課税の累積(隠れた付加価値税=hidden VAT
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 4月 8
③(一部で課税売上業務を営む場合)控除の対象となるVATの計算方法の難しさ
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 4月 8
④EU加盟国間でVATの制度が異なることによるコンプライアンスコスト
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 4月 8
欧州委員会は、このうち②の「隠れた付加価値税 hidden VAT」を優先問題とした
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 4月 8
「隠れた付加価値税」に対する解決策として、次の4つの方法が提案された。①事業者間取引(B2B)を免税(ゼロ税率)とする。この場合、事業者間取引では控除対象外付加価値税は生じない
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 4月 8
②金融機関からアウトソーシングされるサービス自体を「非課税」とし、その範囲を拡大する。この場合は非課税による「隠れた付加価値税」が前段階へ移動するだけで問題の解決にはならない
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 4月 8
③金融機関からアウトソーシングされる一定のサービスについて、一部控除可能とする。これはオーストラリアなどNew VAT実施国で採用されています
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 4月 8
④(EU域内で共通の)クロスボーダーVAT連結納税制度を創設する。VATの連結納税制度ではグループ内は本支店取引と同じくVATが課税されない。英国では連結VATの制度が実施されていると聞きますが、詳しくはわかりません(後ほど調べたい
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 4月 8
欧州委員会では、2000年頃からVATが金融取引「非課税」であることによる「歪み」が問題とされてきた。それ以前から財政学者などから非課税の代替的手段としてキャッシュ・フロー税などが提案されてきたが技術的には困難とされた
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 4月 8
欧州委員会は、加盟国・企業もいずれも金融取引非課税の撤廃を望んでおらず、また、欧州司法裁判所の判決の蓄積を覆すような立法も難しいことから、金融保険取引のVAT非課税の措置の枠組みを前提とする(課税しない)方針とした
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 4月 8
2005年、PwCは欧州委員会の委託を受け、VATが金融取引非課税であることの影響を調査。次の4点をPwCは指摘。①金融機関は大規模なほどVATの制約(隠れた付加価値税 hidden VATなど)を抱いている
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 4月 8
②(高いhidden VATにも関わらず)EU域内の銀行・保険会社の世界シェアは高い。日本の消費税率は欧州に比べるとかなり低いにも関わらず、邦銀の世界プレゼンスは大きくない。つまり関係性は小さい
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 4月 8
③EU域内の銀行が、借り手に対する利子率を高くすることにより、hidden VATを転嫁しているという事実は観察されなかった(貸出金利とVATの税率は無関係
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 4月 8
④EU域内と域外の銀行を比較。hidden VAT(企業会計上、費用となる)の影響により、EU内の銀行は利益率が低くなっている可能性がある(PwCは「確証はない」と留保付き
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 4月 8
PwC調査レポート結論。EU域内の銀行は、hidden VATにより純利益比較で1~3%ないしは5~10%程度低くなっている可能性がある。ただし、VAT非課税が低利益率の原因であると断定することはできないと留保
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 4月 8
後半部分のPwCのレポートのリンクが見つけられません。後日、追加します。