すらすら租税法研究ノート。

租税法に関する勉強と思考を書きます。

租税法研究雑誌のお勧めあれこれ。(その1)

ツイッターでお勧めの税務雑誌を教えて欲しいとのご質問を受けましたので、少々ご紹介したいと思います。
いろいろな雑誌が発行されておりますが、それぞれ特色がありまして目的により使い分けるとよいかと思います。


まずは、こちら「租税研究」。
公益社団法人 日本租税研究協会|出版物
公益社団法人日本租税研究協会の月刊誌。市販されていませんが、購読会員加入で毎月送られてきます。購読会員の会費は3万円です。誰でも加入できます。
租税研究は論文集ではなく、会員向けに開催されている著名な租税法学者・財政学者・税理士・政府当局者などの講演録をまとめたものが主です。特に最近は国際課税関係が充実しています。
会員になりますと、過去15年ほどの租税研究のバックナンバーがPDFで閲覧でき、毎年開催される租税研究大会(2日間)にも無料で参加できます。
私も今夏、岡村忠生京都大教授の講演など聴講することができました。
学術色が強く、税務(税金計算の技術)にはほぼ役立ちません。


続いて「税研」。

出版物 | 公益財団法人日本税務研究センター
似ていますが、こちらは公益財団法人日本税務研究センターの隔月刊誌です。市販されていません。会員になりますと2か月に1回送られてきます。年会費1万5千円です。
税研の執筆陣は同じく租税法学者、税理士、当局者などですが、学術論文だけではなく、判例研究や実務事例もあります。租税研究ほどではありませんが、やはり学術向けの色彩があり実務家の中で学問にも興味がある方向けではないでしょうか。
税務計算技術の習得には向きません。
税研の会員になりますと、創刊号からのバックナンバーがすべてPDFで閲覧できます。他に、税研センターが発行している税務事例研究(隔月刊)、日税研論集(不定期、学術論文集約60冊)がすべてPDFで閲覧できるようになります。
15,000円の年会費なのにお得であると思われます。


続いて、歴史ある「税経通信」。

税経通信 2015年 04 月号 [雑誌]

税経通信 2015年 04 月号 [雑誌]

月刊誌で、市販されています。年間購読料36,000円。
こちらは実務的な色彩が濃い雑誌で、税制改正特集や実務講座もあります。
しかし歴史ある雑誌であり、著名な租税法学者が判例批評などを寄せる場合も多いです。
大きめの図書館ならバックナンバーがありますので、判例批評のコピーをとってよく読んでおります。

中央経済社の税務弘報。

税務弘報 2015年 03 月号 [雑誌]

税務弘報 2015年 03 月号 [雑誌]

月刊誌で、市販されています。年間購読料29,800円。
http://www.chuokeizai.co.jp/mag/tax.html
こちらも実務色が濃い雑誌ですが、先日のヤフー事件東京地裁判決の特集が組まれまして、著名な学者・実務家たちが寄稿した特集号は非常に読み応えがありました。
税理士向け実務記事が多い号もありますので、私は学術向けの興味がある記事が出ている時だけ読んでいます。


税務研究会の「税務通信」。
研究会、とありますが、研究機関ではなく民間の出版社です。
週刊税務通信|税務研究会
税務通信は週刊誌で年間購読料38,880円。
完全に実務向けで、課税当局の「意向」を取材して伝えてくるのが速いです。
会計実務誌である「経営財務」(週刊)と合せて購読し会員になりますと、実務セミナーの無料聴講券が付いてくる会員制度もあります(いろいろな会員形態があり、料金が異なります)。

とりあえず、その1はこの辺りで。
この他に「経理情報」「税理」「月刊税務事例」などありますので、また後ほど。