読書ノート 國枝繁樹「金融危機後の金融関連税制」。
本日のお題はこちら。
- 作者: 証券税制研究会
- 出版社/メーカー: 日本証券経済研究所
- 発売日: 2012/09
- メディア: 単行本
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今般の金融危機で、各国政府は金融システムの安定化のために巨額の財政資金投入を余儀なくされました。この投入された財政資金を金融セクターに「支払わせる」ためにいろいろな手法が検討
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 30
2010年、IMFで提案された手法は3つ。①金融安定化基金FSC Financial stability contribution ②金融活動税FAT Financial activity tax ③金融取引税FTT Financial transaction tax
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 30
①金融安定化基金FSCは、金融機関のバランスシートの大きさ自体に課税し、集められた資金は金融危機に備えてプールされる(現行の日本で実施されている預金保険料に近いイメージ
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 30
②金融活動税FATは、現行の付加価値税VAT(日本では消費税)が金融取引が「非課税」であることによる歪みを是正するために、金融機関の付加価値=人件費+利益へ課税しようとする手法
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 30
③金融取引税FTTは、金融取引1回1回に広く薄く課税し、高レバレッジ・高頻度取引を抑制しようとすることを狙う手法
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 30
この中で私すらたろうが関心を持つのは金融活動税FATなわけですが・・
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 30
IMFの提言を受けて、欧州委員会ではどの手法を採用するか検討が行われました。2011年9月に採用されたのは金融取引税FTTでありました。理由は、①想定される税収が金融取引税FTTの方が金融活動税FATより大きい(続く)
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 30
②金融危機の原因のひとつとなった短期負債に依存した高レバレッジ・短期トレードによる過剰なリスクテイクの抑制には金融活動税FATは効果が無い
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 30
③HFT(高頻度取引)には金融活動税FATは効果が無い。この3つの理由により金融取引税FTTが支持された
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 30
金融活動税FATの利点として考えられる金融サービスへの付加価値税VAT非課税の補完としての役割については、付加価値税VAT自体の改革により対応すべき、と
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 30
金融活動税FATの3つの類型。①加算型FAT。これは利益+人件費に課税するもので、利益算定にあたっては固定資産投資は即時償却される(減価償却による期間配分は行わない)
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 30
「加算型FATは現行の法人税と差異がいちばん小さい」とか言われておりますが、これ、間違い。日本では加算型付加価値税としての外形標準課税がありますが、計算過程がまったく異なるのでものすごい事務負担
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 30
②レント課税型FAT。金融セクターはたいていの国で免許制であり、厳しい規制に縛られていますがそれと同時に法規制や制度によるレント(超過収益)を享受しているとされます。このレントに課税しようというもの
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 30
金融セクターが享受しているレントを推計する実証研究はいろいろ行われていますが、制度としての税制に落とし込むのは「公平明確な測定」が難しそう
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 30
③リスク課税型FAT。これはレントからリスクプレミアムを控除したものに課税しようするもの。しかしリスクを税制レベルに落とせる客観性をもって測定するのは困難ですし、リスク評価は金融セクターの収益のネタでもあり、他には開示できない
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 30
金融活動税FATを、金融サービスへの付加価値税VAT非課税の補完として位置づけた場合、既存のVATとFATの調整が困難である問題が
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 30
ここで、著者は金融活動税FATをVATが非課税である部分のみに課税することを提案しておりますが、現行の外形標準課税でもうんざりしているのにFATが来たらコンプライアンスコストがとんでもないことに
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 30
付加価値税VAT非課税の問題点として、中間投入の一部である事業会社の借入金利息について仕入税額控除がとれない、というものがありますが、これを各事業会社へ配分するのは技術的に非常に困難(みなし税額控除用のインボイスを利用?
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 30
IMF/欧州委員会では、金融活動税FATの税率を低く抑えることでこれによる「歪み」を抑えるしかないという論を
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 30
本日のお題はこちらからでした。「証券税制改革の論点」 所収 國枝繁樹「金融危機後の金融関連税制」http://t.co/lYWYJ7Oyhu
— すらたろう (@sura_taro) 2014, 3月 30