酒井克彦「レクチャー租税法解釈入門」レビュー。
酒井克彦教授の新しい著作、「レクチャー租税法解釈入門」を読み終わりましたので、少々レビューを。
- 作者: 酒井克彦
- 出版社/メーカー: 弘文堂
- 発売日: 2015/11/02
- メディア: 単行本
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酒井克彦教授のテキストはどれも厳密な論理展開で執筆されています。
なので、法律学としての租税法学習に慣れない本当の初学者だと、最初何が論じられているのかなかなか理解できず、「これで本当に基礎的なテキストなの?」と感じることもしばしば。
しかし、一度慣れてしまえば、通説のみならず、反対する学説や、酒井教授の考察も踏まえてロジックがきちんと整理されて記述されているので実に明快であります。
独自説を強調するあまり、無理な論理展開をする一部の租税法学者の論文・著作とは一線を画しておりますね。
本書は、「レクチャー租税法解釈入門」とあります。
ホステス報酬源泉徴収事件、武富士事件、オウブンシャHD事件などの過去の著名な租税裁判、また、船舶の定義をめぐる借用概念など近年の重要判例を題材に、租税法の解釈方法を図式もまじえながら易しく解説しております。
易しい、といいましても論理的な厳密性は損なわれておらず、さすがの展開です。
独習文献にも、ゼミ形式での勉強会の教材にも向く一冊ではないでしょうか。
お勧めしたいと思います。