租税法基本書の「使い分け」について。
租税法学習にあたり、私はこの3冊の基本書を使用しています。
まずは、言わずと知れた金子宏「租税法」です。
- 作者: 金子宏
- 出版社/メーカー: 弘文堂
- 発売日: 2015/04/23
- メディア: 単行本
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これを隅から隅まで読むのは現実的ではないので、判例研究や学説の整理をする際に、辞典のように該当箇所を引いて精読するという使い方をしています。
租税法分野でも学説上の争いがある論点はいろいろありますが、賛成・反対にせよ金子宏説は必ず押さえておくべきでしょう。
金子宏名誉教授はかなりのご高齢ですが、毎年自ら改定作業をされているそうです。*1
続いて、京都大学名誉教授・清永敬次「税法・新版」です。
- 作者: 清永敬次
- 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
- 発売日: 2013/05
- メディア: 単行本
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清永名誉教授は金子宏東京大名誉教授と双璧をなす租税法学者であり、金子宏説と微妙に異なる説明をしている部分も有ります。
租税回避の項目など、読み比べてみるとよいでしょう。
所得税・法人税など租税実体法は各税法10ページほどしかありませんが、概論や手続法はその法的な考え方をしっかり学べます。
精読しているのはこちら。
- 作者: 谷口勢津夫
- 出版社/メーカー: 弘文堂
- 発売日: 2014/02/21
- メディア: 単行本
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税法の勉強というと、とかく細かい計算規定にばかり目が行きますが、この「税法基本講義」は、納税者と国の法律関係が権力関係では無く債権債務関係であるという解説から、手続法の重要性を学べます。
実体法に関しては所得税と法人税のみですが、それでも500頁ほどあり、改定の度に厚くなっています。谷口教授による相続税法や消費税法の基本書も出してほしいですね。
最新の判例もその租税法理論における位置づけも合せて学べます。
基本書はこのくらいでして、次は判例の勉強方法について書こうと思います。
*1:最近の校正は増井良啓教授が担当しております。