金融仲介業への付加価値税課税の可能性。(思考中)
銀行業に代表される金融仲介業が生み出す審査・モニタリング・金融サービスなどの付加価値は、「金利」の中におり込まれてしまい、明示されません。
そのため、GDPの計算においても測定されてきませんでした。
日本における金融仲介業が生み出す「付加価値」はいくらくらいなのか。
それを推測したものがFISIM(間接的に計測された金融仲介サービス)であり、これが金融仲介業が生み出す付加価値として、近年GDP計算にも入れられるようになりました。*1
日本におけるFISIMは、中間消費が約10兆円、最終消費が10兆円ぐらいと推測されています。
このうち、中間消費分は金融仲介サービスを受ける事業会社が新たに仕入税額控除を受けられるようになるため、金融機関が納付する消費税額と相殺されてしまい、国庫納付は増えません。
最終消費分10兆円×5%として、5,000億円の増収が期待できるのでは?との考えもありますが、現在、金融取引の非課税によって多額の控除対象外仕入税額を負担している金融仲介業が新たに税額控除の「取り戻し効果」を受けられるとの指摘もあり、果たして増収になるかは定かではありません。
金融仲介業に対する消費課税の効果を測定するためには、金融仲介業がどのくらいの「控除対象外消費税額」を負担しているのか把握しなければなりませんが、まだ日本においてこれについての実証研究は見当たらず、推測すらできません。
また、増収を確保しようとして現状とはまた別の歪みを引き起こす可能性もあります。
引き続き考えます。
本日の参考文献はこちら。
- 作者: 証券税制研究会
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*1:FISIMそのものの概念や計算方法はまだ勉強中です。要整理。