読書ノート 三木義一「中小企業特例と前段階税額控除について」
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三木義一「中小企業特例と前段階税額控除について」
- 作者: 三木義一
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 1992/09
- メディア: 単行本
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「付加価値税をすでに実施している国々において、なお検討課題として残されている問題のうち最も基本的で重要なものが非課税取引を行う業者に対して前段階税額控除の権利が排除されてしまう制度の合理性・合憲性」p254
— すらたろう (@sura_taro) April 14, 2014
「付加価値税の基本的な仕組みを前提とすると、なぜ非課税取引の場合に前段階税額控除の権利が排除されなければならないのかは必ずしも明確ではない」P255
— すらたろう (@sura_taro) April 14, 2014
「最終段階における非課税措置というのは、当該消費行為が担税力その他を考慮したうえで課税すべきでないと判断されたことを意味している。そうであれば、非課税消費価格の中には、付加価値税は含まれるべきではないと解するのが合理的・体系的」p258
— すらたろう (@sura_taro) April 14, 2014
(すらコメント)社会保険診療など、価格が公定されている非課税取引以外の「非課税」については、前段階の税額が控除できないこと(hidden VAT)がすべて消費者に転嫁される「可能性」がある
— すらたろう (@sura_taro) April 14, 2014
「非課税業者は、非課税とされているが故に、課税業者以上に転嫁がしにくい」P260 損保会社は、保険料収入は非課税ですが控除対象外消費税の問題をうまく保険料値上げで転嫁しましたね(報道は、仕組を理解していないようでよくわからない解説でしたがw
— すらたろう (@sura_taro) April 14, 2014
中間段階の売上(B2B)が非課税の場合。「中間段階の非課税において前段階税額控除の権利が否定されると、最終段階とは異なり、基本税率を適用した場合よりも小売価格が高くなってしまう」p260
— すらたろう (@sura_taro) April 14, 2014
(すらコメント)これは、非課税業者が控除できなかった前段階税額を次の段階へ販売する際に価格に含めてしまうため。これは税の累積であり、付加価値税の最大のメリットである中立性が失われる
— すらたろう (@sura_taro) April 14, 2014
「非課税業者が当該間接税を負担する可能性は、事実上はともかく、法的には存在していない」p272 (引用者注、事実上とは:経済学的には転嫁可能性は財・サービスの価格弾力性に依存する)
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「非課税業者は、前段階税額控除の権利を法的に否定されることによって、前段階税額を自ら負担する(あるいは消費者に転嫁する)ことを法的に強制されている」p272
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消費者が、法律上非課税となっているのに実際上は税を負担するという問題。「間接税法における非課税規定の消費者に対する意義の理解の問題である」p276
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「非課税規定は(その非課税となる対象が)担税力を欠いているか、消費としての性格を欠いているために非課税とされているのであって、当該商品(引用者注:財・サービス)には当該間接税が含まれていないことを保障したもの」p276
— すらたろう (@sura_taro) April 14, 2014
「前段階税額控除の権利が排除されてしまうと、せっかく法が非課税としたにもかかわらず前段階税額を消費者へ転嫁されてしまうことを法的には容認したことになる」p276
— すらたろう (@sura_taro) April 14, 2014
「これは、当該消費に担税力が掛けているがゆえに非課税とした法の本来の趣旨に反する・・こうした矛盾は租税法律主義の形式的要請(法律に基づく課税)に対する実質的侵害」P276
— すらたろう (@sura_taro) April 14, 2014
(すらコメント)前段階税額控除の否認について、「性格上非課税」(金融取引など)と「社会政策上の配慮で非課税」(社会保険診療など)を区別して考えるべきではないかとも。本論文でも両者の区分はあまり意識されていない
— すらたろう (@sura_taro) April 14, 2014
本日の写経と考察のお題はこちら。三木義一「中小企業特例・前段階税額控除をめぐる基本問題」 同「現代税法と人権」所収 http://t.co/yEobobkuSi
— すらたろう (@sura_taro) April 14, 2014