すらすら租税法研究ノート。

租税法に関する勉強と思考を書きます。

信頼の対象となる公的見解?

税務署に聞きに行って、そのとおりに処理したのに
後から税務調査で否認されたり、
追徴課税されたり・・ということはよくあると聞きます。

最高裁判決は、納税者が救済される場合として
次のようなものを示しています。

①税務官庁が納税者に対して信頼の対象となる公的見解を示したこと。
②納税者がその表示を信頼し、それに基づいて行動したことに納税者の責に帰すべき事由が無いこと。
③後になって、その表示に反する課税処分により、納税者が経済的不利益を受けることになったこと。

しかし、最高裁判決が指す「信頼の対象となる公的見解」が
いったいなんであるのかははっきりしません。

税務署窓口で口頭で示された見解・回答には
何ら根拠が無いものと考えるしかないでしょう。
口頭で質問した際、前提となる事実関係を
その場で税務職員がすべて理解して判断できる、
とは考えにくいこともあります。

また、税務官庁がいったんなした表示(公的見解)を
将来に向かって改めることを否定するものではない、
とも聞きます。

税務リスクが高い取引を行うに当たっては、
複数の税務専門家の助言を得るとともに
判断した根拠を文書で残しておく、
というのが株主への説明責任につながるかと
思います。

くれぐれも、口頭だけで済ます、という
安易な判断は避けるべきでしょう。