すらすら租税法研究ノート。

租税法に関する勉強と思考を書きます。

つぎはぎ改正が引き起こす会計税務の差異とは。

今日の財務会計は、言うまでもなく発生主義会計により行われています。
現金の入金がなくとも、「実現」したものであれば収益に計上する、という実務慣行ですね。

さて、日本の会計基準には収益認識に関する包括的な基準がなく、その「実現」基準として法人税基本通達にいろいろ書いておりますが、これは実務慣行を追認しているという色彩が強く、あまり理論的整合性があるものではない、と感じております。

その中で、銀行の貸出金利息の未収利息は、(何と)昭和41年に出された国税庁の未収利息個別通達に規定されております。
こちらですね。
金融機関の未収利息の取扱いについて

現在の銀行の勘定系システムは、この個別通達のロジックに基づいて組まれているものと考えられますね。

一方、現行の金融商品会計基準では、貸倒懸念債権(自己査定区分ですと「破綻懸念先」)以下になりますと、この通達によらず、未収利息が不計上になってしまいます。

こんなところでも会計・税務の差異が生じているわけですね。

収益認識について、このような個別通達によらずとも、公正妥当な会計基準たる金融商品会計基準に依拠する、というのも一つの正しい理屈ではありますが、個別通達に基づいて組まれている銀行の巨大な基幹勘定系システムを改修するのも、また実務的にはつらいところです。

税法も会計も、租税法理論や概念フレームワークに基づいて基準制定を行っているわけではなく、その場でつぎはぎ的な改正を繰り返しているわけなので、これはやむを得ない状況なのですが・・

米国や欧州ではどのようにしているのでしょうか。
調べてみたいところであります。