すらすら租税法研究ノート。

租税法に関する勉強と思考を書きます。

数量化できない課税物件には。

財務会計のテキストの最初の方で、
会計公準というのが出てきます。
その中で、貨幣的測定の公準、というのがあります。
いろいろな意味がありますが、
お金で測れないものは財務会計には取り込めない、
というものも含まれますね。

さて、租税法の世界では「課税物件」という概念が出てきます。
所得税・法人税では、所得。
消費税では、消費ですね。
ここで金子先生「租税法」から引用します。

「課税物件たる物・行為または事実から税額を算出するためには、物・行為・事実を金額・価額・数量で表すことが必要」

そして、この数字で表されたものが課税標準となり、
課税標準に税率を掛けて税額が算出されます。


ここで、目下の思考課題である、消費税における金融取引の非課税であります。

消費税の課税標準は「課税資産の譲渡等の対価の額」(法28条)です。
条文の構成上、非課税資産の譲渡等は課税標準にすら入りませんが、もし入れたとしても、金利で表示される金融仲介サービスでは「譲渡等の対価の額」を課税標準として測定できない、ということに思い当たりました。

これこそが、金融取引が「消費」になじまない、ということではないかと。

巷の解説書ではここまでは書いておりません。
やはり、法理論まで入り込んで考え抜くことで、ひらめきが得られるものだと満足したのであります。