なぜ法人に課税する?
法人は、法律が作り出したものであります。
これが実在しているのか、
それとも個人の集合体に過ぎないのか、
租税法の世界でも延々と論争が続いてきたそうです。
現実の法人税法は、個人の集合体であるという建前を
とりつつ、実在説も加味しているのではないかと考えられます。
二重課税排除のための受取配当金益金不算入制度や、
所得税における配当控除、などですね。
さて、今日の自由化された市場においては、
上場されている株式は世界中から買い付けることができ、
東京市場でも外国人投資家の存在は極めて大きいです。
ここで、法人税は非居住者(外国人)の資本所得、
つまり法人に対する投資から生じる収益に対する
源泉地(=日本)課税として機能していることになります。
仮に、法人税を廃止して、個人所得税一本にしますと、
配当に対しての課税権を喪失してしまうことになります。
あまりに巨大化した法人に対する課税を廃止して
任意組合や投資事業組合の様に持分に応じた
個人課税に一本化することは、技術的にも不可能でしょう。
法人に対し、どう課税するか。
法人に対するあらゆる租税は「転嫁」されることも
合わせて、継続して考えたい論点ですね。